FXと外貨預金のどちらがお得?

昨今、急激な円安とドル預金の金利の高さなどから外貨預金が注目を集めていますが、外貨預金とFXではどちらがお得なのでしょうか?

結論から

大多数の方は、外貨預金よりもFX(レバレッジなし)で運用する方がお得です。
FXと聞くとハイリスクというイメージを持っている方も多いですが、レバレッジを掛けなければ為替変動のリスクは外貨預金と基本的に変わりません。

一方、FXと比べて銀行預金は以下のデメリットがあります。

  1. 手数料が高い:外貨預金では、円をドルに交換する際やドルを再び円に戻す際に手数料が発生しますが、FXの手数料(スプレッド)と比べて格段に高いです(数十倍~数百倍レベル)。
  2. 破綻時の保護なし:外貨預金はペイオフ(預金保険制度)の対象外であり、銀行が破綻すると預けた資産が保護されないリスクがあります。FXは信託保全の仕組みで顧客資金が守られています。
  3. 金利が抜かれている:ドル預金の金利(3.5~4.7%)は一見高く見えますが、実際にはアメリカの政策金利や国債利回り(約5.25%~5.37%)より低く、銀行が差額を収益として得ています。
  4. 流動性が低い:高い利回りを得られる外貨預金は、基本的に定期預金です。原則 途中解約不可で、満期まで引き出しや売却ができません。また、途中解約した場合、手数料を取られる形になります。一方、FXは市場が開いている間、いつでも売買可能です。
  5. 税金が高い場合が多い:外貨預金だと為替差益が総合課税となり、最大税率55.945になります。一方、FXは一律20.315%です。給与収入や年金収入などが低い方は外貨預金の方が税金が安くなりますが、資産を外貨で持つ余力のある層は、FXの方が税制的に優れているケースが多いと考えられます。

FXと外貨預金の違い

FX外貨預金
①可能な取引の種類購入 ⇔ 売却
(双方向。売りからも入れる)
購入 ⇒ 売却
(一方向)
②流動性(取引の即時性)為替市場があいている時間で
あれば即時
原則、満期まで売却不可
また、解約は手続きが必要で
即時売却は不可
③レバレッジ取引不可
④収益チャンス為替差益
スワップポイント(日次)
為替差益
利息(満期 or 解約時)
⑤損失リスク為替差損
スワップポイント(日次)
為替差損
⑥税金(個人の場合)申告分離課税(20.315%)[利息] 源泉分離課税(20.315%)[為替差益] 総合課税(~55.945%)
⑦ユーザ資金保護信託保全なし
(ペイオフ対象外)
⑧手数料スプレッド
(総じて外貨預金より安い)
為替手数料
(総じてFXより高い)

①可能な取引の種類
FXでは「円高」でも「円安」でも利益を狙えますが、外貨預金で為替差益を狙えるのは円安局面だけになります。

FXの特徴は、為替相場がどちらに動いても取引チャンスがあることです。相場が上昇する(円安になる)場合には通貨を買い、下落する(円高になる)場合には通貨を売ることで利益を狙えます。この柔軟性により、相場がどちらに動いても戦略を立てられるのがFXの魅力です。一方的に上昇を待つだけでなく、下落局面も活用できるため、取引の幅が広がります。

②取引の即時性
外貨預金は、原則として満期まで売却できず、途中で解約する場合でも手続きが必要で、換金までに時間がかかります。一方、FXは好きなタイミングで売却して即座に換金が可能です。為替レートの変動に迅速に対応したり、急な出費に対応する際には、FXの方が利便性が高いと言えるでしょう。

③レバレッジ取引
個人で国内のFX会社の利用する場合は、レバレッジを1倍~最大25倍まで設定することが可能です(法人での利用や海外のFX会社では、利用可能な倍率が異なります)。レバレッジの倍率を高くすると少額の資金で効率的に資産運用を行うことができますが、利益が大きくなる可能性がある反面、損失も大きくなるリスクがあり、レバレッジの設定次第でリスクの度合いが大きく異なる投資方法です。
レバレッジ1倍で運用する場合、為替変動によるリスクは基本的に外貨預金と変わりません。

④収益チャンス / ⑤損失リスク
<為替差益・為替差損>
為替差益とは、為替レートの変動によって生じる利益のことで、逆に損失が出る場合は為替差損といいます。例えば、1ドル=150円でドルを購入し、1ドル=160円で売れば1ドルにつき10円の利益(為替差益)が得られます。一方、円高で1ドル=140円になった場合は、1ドルあたり10円の損失(為替差損)となります。FXの場合はは、買いからだけでなく売りから取引を始めることも可能で、円安時に売り、円高時に買い戻すことで差益を得ることもできます。

<金利>
外貨預金には利息が付き、FXではスワップポイントが発生します。
スワップポイントは、FX取引において通貨ペア間の金利差に基づいて発生する損益のことです。高金利の通貨を買って低金利の通貨を売る場合には金利差分を受け取り、逆に低金利の通貨を買う場合には支払いが発生します。日本は世界的に見て超低金利であるため、円で外貨を購入する場合、基本的に巣スワップポイントはプラスになります。
例えば、DMM FXにおける2024/11/19時点のUSD/JPYのスワップポイントは、1万米ドルあたり以下の通りです。
買: 196円
売: -199円

単純計算すると、年間で71,540円、年利に換算すると約4.63%になります(為替レート: 1ドル154.5円計算の場合)。スワップポイントはFX会社ごとに異なり、また日々変動することがあるため、上記のように単純計算にはなりませんが、目安にはなります。

⑥税金(個人の場合)
外貨預金とFXでは、税金の扱いが異なります。

  • 外貨預金
    • 利子:20.315%(源泉分離課税)
    • 為替差益:最大55.945%(総合課税)で、他の所得と合算され累進課税が適用されます。確定申告が必要で、損失は他の所得と損益通算できません。
  • FX
    • 為替差益とスワップ収益:20.315%(申告分離課税)で、他の所得とは合算されず、確定申告が必要です。損失は「他の先物取引の利益」と損益通算が可能です。また、損益通算を行っても年間の損益が損失だった場合、翌年以降3年間に渡りその損失を繰り越し、翌年以降の先物取引の利益の金額と損益の通算をすることが可能です。

⑦ユーザ資金保護
外貨預金は預金保険機構による保護の対象外です。その為、金融機関に万一のこと(破綻等)が生じた場合に、全額保証されるわけではありません。

⑧手数料
例えば、三井住友銀行の場合、1ドルあたり1円。これが往復で掛かる(円でドルを買う時と、ドルを円に戻す時)ので、1ドルあたり2円掛かることになります。1ドル154.5円計算の場合、1.3%程度ですから、非常に高いです。FXでは1ドル0.2銭が基本なので、1/500の手数料になります。

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